30歳、女性 あごえらが張っている、あご先が幅広い
手術:Vライン-下顎骨形成術
(上段:治療前、下段:治療後) 高校生頃から、あごえらが張っていて、あご先が幅広い顔に悩まれておりました。 手術治療:張りだしたあごえら(下顎角部)からあご先にかけて希望されるフェイスラインが得られるようにVライン-下顎骨形成術を行いました。 術後経過:術後2週間以降、腫れが引いてくると整ったフェイスラインが得られました。 コメント:あごえらが張りだしている方の多くは、あご全体も大きく、その分あご先も幅広く大きい方が多くいらっしゃいます。悩まれているあごえらだけ切除しても、かえってバランスが崩れてあご先の大きさが目立ってしまします。Vライン-下顎骨形成術は、あごえらからあご先にかけての形を整えるために大変有効な手術です。
21歳、女性 下あごをシャープしたい、ほほの突出と幅を小さくして小顔になりたい
手術 :下顎骨形成術+オトガイ形成術、頬骨縮小形成術
(上段:治療前、中段:下顎骨形成術6カ月後、下段:頬骨縮小形成術6か月後、下顎骨形成術1年後) 高校生頃から、あごえらが目立っていて、ほほが張り出し、顔が大きいことに悩まれておりました。(写真上段) 手術治療経過 1回目手術:下顎骨形成術+オトガイ形成術 まず、一番気になっているあごえらを小さくする下顎骨形成術とやや大きいあご先を小さくするオトガイ形成術を行いました。術後2週間以降、腫れが引いてくるとシャープな整ったフェイスラインが得られました。(写真中段) 2回目手術:頬骨縮小術 シャープに整った下あごのラインが下顎骨形成術で得られた分、以前から気になっていたほほの突出と幅が広いのがより目立つようになったので、下顎骨形成術から6か月後に頬骨縮小形成術を行いました。術後3週間以降、腫れが引いてくると、気になっていたほほの突出と幅広いのが改善され、希望されていた小顔が得られました。(写真下段) コメント:あごえらとほほが張り出しているのは東洋人に特徴的な顔面骨格です。適度な、あごえらとほほの張り出しは、顔に立体感を生み出して魅力あるものにしますが、ある一定の度を過ぎるると、野暮ったい顔、四角いホームベース型の顔、男らしいゴツゴツした顔、大きな顔などといった、印象を与えてしまい、こうした顔面骨格に悩まれている方が多くいらっしゃいます。 この症例のように、一般的には、それほどあごえらやほほの突出が目立たないと思われる方でも、ご本人はずっとこうした顔面の特徴に悩まれている方には、あごえらからあご先の形を小さく整える下顎骨形成術、Vライン形成術、オトガイ形成術などで、下あごのフェイスラインをシャープに整える方法が有効です。また、一方で、ほほ骨による適度なほほの張りやふくらみは、顔に滑らかな立体感と若々しい印象を与える重要な要素です。 目立つからといって、安易にほほ骨を削り過ぎるとかえって元気のない老け顔の印象を与えてしまいますので、私たちは、ほほ骨の自然で滑らかな曲面構造を活かしてほほに新たな立体感を生み出すように手術を計画します。この症例のように、決してほほが大きく突出している方でなくても、手術後には、ほほ骨の突出と顔幅が縮小し、顔に優しく洗練された印象とともに小顔効果が期待できる手術を行っています。
29歳、女性 口もとの突出感 あごえら・あご先が広い
手術:上顎骨分節骨切り術による上顎のセットバック+下顎骨分節骨切り術による下顎のセットバック+Vライン-下顎骨形成術
28歳、Male-to-Female、女性的な丸みと張りのあるひたいを希望
手術:前頭洞縮小を伴う前額部形成術+眼窩上縁骨削り+人工骨ペーストによる前額形成術
(上段:治療前、下段:治療後) 思春期以降自分の本来の性別に違和感を覚え、Male-to-Femaleの性同一性障害と診断され、性別適合手術としての女性顔化を希望されました。今回、女性的な丸みと張りのあるひたいの形成を希望されました。 手術方法:髪の毛を短くすることなく、髪の毛の中を切開(冠状切開)するアプローチを用いました。眉間の骨が特に突出しておりましたので、突出部分を骨削りして滑らかにしました。さらに、ひたいを丸くするため人工骨ペーストで整形しました。 術後経過:術後2週以降、腫れが落ち着いてくると、女性らしい丸みと張りのあるひたいが得られました。 コメント:ひたいの眉間部分が突出している場合は、この部分の骨が薄いため、削り過ぎると副鼻腔のひとつの前頭洞という空洞に抜けてしまいます。このような場合は、突出部分を前頭洞側に移動させることで、眉間のいい形を整形することができます。
29歳、女性 口もとが出ている、ガミースマイル、小顔になりたい
手術:手術先行(サージャリーファースト)方法による外科矯正手術 ルフォーⅠ型骨切り術+下顎骨矢状分節骨切り術
(上段:治療前、下段:治療後) 口もとの突出感、笑うと上の歯ぐきが露出する、小顔になりたい、という希望でいらっしゃいました。 手術方法:手術先行(サージャリーファースト)方法による外科矯正手術を行いました。上あごはルフォーⅠ型骨切り術で、5mm長さを短縮しました。 下あごは、下顎骨矢状分割骨切り術で上あごと良いかみ合わせの位置に移動させました。さらにに、歯の露出の程度、横から見たあご先の位置が良い位置に来るように微調整しました。 術後経過:術後2週間以降、腫れが落ち着いてくると、口もとおよびガミースマイルが改善しました。術後3週以降、矯正歯科治療を開始し、もともとのかみ合わせはそれほど悪くないため、6カ月で治療を終了しました。手術により、十分な小顔効果が得られました。 コメント:明らかな顎変形症ではないけれども、口もとの突出感、ガミースマイルなど、上あごがやや大きいことが原因で生じる顔の形の問題は数多くあります。このような場合は、改善したい項目を一つ一つ確かめつつ伺った上で、しっかりとした治療方針をたてることが必要です。小顔化するためには、顔のサイズそのものを小さくする必要がありますが、ルフォーⅠ型骨切り術+下顎骨矢状分節骨切り術は、最適な方法です。このような小顔化の手術を行っている形成外科・美容外科は、日本では数少ないですが、私たちも行っております。
17歳、男性 両側唇顎口蓋裂成長後の受け口、反対咬合
手術:手術先行(サージャリーファースト)方法による外科矯正手術 ルフォーⅠ型上顎骨骨切り術による上顎前方移動+下顎骨矢状分割骨切り術
後日追加手術:おとがい形成術、唇裂鼻変形形成術
(上段:治療前、下段:治療後) 生後3カ月で初回唇裂形成術を受けられ、以後、口蓋裂閉鎖術、腸骨移植による顎裂閉鎖術など数回の手術を受けられた後、しばらく来院されておられませんでした。今回、高校卒業後就職したいので、それまでのうちに、受け口、反対咬合の治療を希望されいらっしゃいました。 手術方法:一日でも早く受け口、唇裂様顔貌を改善する目的で手術先行(サージャリーファースト)方法による外科矯正手術を予定しました。術後の歯科矯正治療を含めた治療全体の計画を、矯正医の先生と十分に検討し、手術シミュレーションをたてました。学校の夏休みに手術を希望された。生まれつきの変形がベースにある歯並び、かみ合わせの大きなズレがありましたので、手術までの3カ月間だけ、歯科矯正治療を行いました、手術は、上あごをルフォーⅠ型上顎骨切りを行い、7mm前方へ移動しました。下あごは下顎骨矢状分割骨切り術を行い、新しい上あごとうまくかみ合う位置に後方に移動させました。今回の手術では、唇裂特有の押しつぶされたような鼻の手術をしませんでしたので、あご先の位置をE-ラインに移動させるおとがい形成術は行いませんでした。 術後経過:術後2週間以降に、腫れが落ち着いてくると、受け口顔が改善されました。術後3週以降に、本格的な歯科矯正治療が始まりました。術後6カ月で、唇裂鼻形成術とその鼻に合わせたおとがい形成術を追加し、唇裂特有の顔貌から解放され、自信をもって就職ができました。動的矯正期間は1年6カ月で終了しました。 コメント:通常は、手術先行(サージャリーファースト)方法による外科矯正手術治療が向いていないあるいは難しい症例でしたが、手術を受けるまでの3か月間にできるだけの歯科矯正治療をして、患者さんの希望される手術時期に、手術を行いました。術後矯正治療は、難しかったと思いますが、手術先行方法の外科矯正治療での矯正経験豊富な矯正医の先生による歯並びもかみ合わせも著しく改善しました。この患者さんを、もし従来法で治療していたら、術前矯正期間に1-2年を要し、なかなか時間のとれない就職後に外科矯正手術を受けなくてなりませんし、もしかしたら治療途中でのドロップアウトも考えられました。 口唇口蓋裂に代表される生まれつきの顔の問題を抱えている方は、大きなストレスを抱えて生活されおります。私たち形成外科・美容外科医は、一日でも早く顔の形を変える治療を行い、自信をもってQOLの高い生活を送って頂ければと願い、生まれつきの顔の変形治療に対しても、矯正医の先生と協力して、できるだけ手術先行方法による治療を追及しております。
30歳、女性 鼻の曲がり:斜鼻変形)、鼻の通りが悪い:鼻中隔湾曲症、ハンプ(鼻背のこぶ)
手術:オープンアプローチ、ハンプ切除、鼻中隔湾曲矯正、Spreader graft、鼻骨骨切り術
(上段:手術前、下段:術後) 高校生の頃、スポーツで鼻骨骨折を受傷し、手術を受けたのですが、その後も鼻が曲がった状態になりましたが、特に治療を受けませんでしたが、ずっと鼻の曲がりは気にしていました。最近、鼻の通りが悪いことを、耳鼻科で相談したところ、鼻中隔湾曲症があり、昔の鼻骨骨折が原因ではないかと言われました。今回、鼻中隔湾曲症とケガによる鼻の曲がりが健康保険で治療できることを知り、鼻の通りと鼻の形両方の改善を希望されました。 手術治療:鼻骨以外にも、鼻中隔湾曲、鼻の軟骨(鼻背軟骨、鼻中隔軟骨など)の変形がありましたので、オープンアプローチで手術を行ないました。湾曲した鼻中隔軟骨を一部切除し、鼻中隔湾曲を矯正しました。鼻背部の、突出した部分(ハンプ)を切除し女性らしいスムーズな鼻背を形成しました。鼻背軟骨変形には、採取した鼻中隔軟骨をspreader graftとして移植し、変形矯正のみならずinternal valveの開存を図り、安定した鼻の通りを確保しました。傷を縫合した後、最後に、鼻骨骨切りを行い、鼻骨の位置を良い位置に移動させ、その位置で骨が接合するように鼻ギブスをしっかりあてました。 手術経過:術後2日目に鼻の中のガーゼを取りました。3日目が一番鼻の周辺、眼の周辺が腫れました。その後は、徐々に腫れと内出血の跡は減ってきました。術後1週間で、鼻ギブスを外しましたが、さらに2週間は鼻に強い力がかからないように注意していただきました。まだ腫れが残っていましたが、鼻の形はストレートに改善しました。術後3週目以降は大分、外の腫れと鼻の中の腫れがとれました。術後3か月後で、ほぼ腫れも落ち着き、鼻の形も鼻の通りも大きく改善しました。 コメント:ケガの後遺症で、鼻が曲がったままの場合、骨だけの変形を治しても、鼻背軟骨や鼻中隔軟骨などの軟部組織成分の変形が残るので、ここに手を入れなければいい形を作ることが難しいことがあります。長年、変形していた軟骨を手術中にしっかり見ながらいい形にすることが大変重要で、その点でオープンアプローチが大変有用です。オープンアプローチは、傷あとを心配される方がいらっしゃいますが、正面からは目立たないところを切りますので、ほとんど目立ちません。ヒアルロン酸注射などの簡単な方法で、一見良くなって見えることがありますが、また戻りますし、こうした小手先の治療を繰り返していると、どんどん組織が硬くなるので、形が崩れてくることがあります。正確な診断と治療で形だけではなく、鼻の通りの機能もきちんと治療できる専門医の治療を最初からお勧めいたします。
53歳、女性 鼻が低くなった:鞍鼻変形
手術:オープンアプローチ、自家肋軟骨移植術による外鼻形成術、鼻中隔延長術 (septal extension graft)
(上段:手術前、下段:術後) 3年前に鼻をぶつけてから次第に鼻が低くなり(鞍鼻変形; saddle nose)なったため、鼻の形成を希望されました。 手術治療:鼻を高くするには、シリコンインプラントによる隆鼻術が美容外科では良く行われます。しかし、この症例では、ケガの跡による鼻骨骨折とその後に生じた鼻骨の一部吸収と傷あとの引きつれ(瘢痕拘縮)が、鼻が低くなった原因と考えられましたので、まずこの引きつれを解除する必要がありました。解除した後も再び引きつれが生じる可能性がありましたので、軟らかいシリコンインプラントでは、再変形が生じる心配がありました。そこで、ある程度の力に耐えられる自分の肋軟骨を一部採取して移植する方法を取りました。 オープンアプローチで、鼻背の骨折部分の硬い引きつれを解除しました。鼻中隔軟骨も短縮していましたので、採取した肋軟骨を移植(septal extension graft)して延長しました。 採取した肋軟骨を7×45 mmに整形して、隆鼻のために鼻根部から鼻翼軟骨にかけて移植しました。傷を縫合したのち、鼻ギブスをしっかりあてました。 手術経過:術後2日目に鼻の中のガーゼを取りました。3日目が一番鼻の周辺が腫れました。その後は、徐々に腫れ減ってきました。術後1週間で、鼻ギブスを外しましたが、さらに2週間は鼻に強い力がかからないように注意していただきました。術後3週目以降は大分、外腫れがとれました。術後3か月後で、ほぼ腫れも落ち着き、鼻の形も鼻筋が通り、大きく改善しました。 コメント:ケガの後遺症で、小さく壊れた鼻の骨が吸収されたり、皮下に溜まった血の塊が吸収されていく過程で、次第に鼻が変形することがあります。また、以前に鼻を高くするために入れたシリコンインプラントが感染したりすると、同様のことが生じることがあります。この場合、安易に鼻を高くすればいいという考えでシリコンインプラントを入れたりすると、引きつれに負けてインプラントがずれたり、感染したりすることがますので、手術方法を十分に検討する必要があります。
49歳、男性 鼻の曲がり:斜鼻変形、ハンプ、鼻閉:鼻中隔湾曲症
手術:オープンアプローチ、ハンプ切除、鼻中隔湾曲矯正、Spreader graft、鼻骨骨切り術
(上段:手術前、下段:術後) 20代の頃、スポーツで鼻骨骨折を受傷し、鼻が曲がったが特に治療を受けずにいましたが、ずっと鼻の曲がりは気にしていました。最近、鼻の通りが悪くなり、耳鼻科受診したところ鼻中隔湾曲症があり、昔の鼻骨骨折が原因ではないかと言われました。今回、鼻中隔湾曲症とケガによる鼻の曲がりが健康保険で治療できることを知り、鼻の通りと鼻の形両方の改善を希望されました。 手術治療:鼻骨以外にも、鼻中隔湾曲、鼻の軟骨(鼻背軟骨、鼻中隔軟骨など)の変形がありましたので、オープンアプローチで手術を行ないました。湾曲した鼻中隔軟骨を一部切除し、鼻中隔湾曲を矯正しました。鼻背部の、突出した部分(ハンプ)を切除しスムーズな鼻背を形成しました。鼻背軟骨変形には、採取した鼻中隔軟骨をspreader graftとして移植し、変形矯正のみならずinternal valveの開存を図り、安定した鼻の通りを確保しました。傷を縫合した後、最後に、鼻骨骨切りを行い、鼻骨の位置を良い位置に移動させ、その位置で骨が接合するように鼻ギブスをしっかりあてました。 手術経過:術後2日目に鼻の中のガーゼを取りました。3日目が一番鼻の周辺、眼の周辺が腫れました。その後は、徐々に腫れと内出血の跡は減ってきました。術後1週間で、鼻ギブスを外しましたが、さらに2週間は鼻に強い力がかからないように注意していただきました。まだ腫れが残っていましたが、鼻の形はストレートに改善しました。術後3週目以降は大分、外の腫れと鼻の中の腫れがとれました。術後3か月後で、ほぼ腫れも落ち着き、鼻の形も鼻の通りも大きく改善しました。 コメント:ケガの後遺症で、鼻が曲がったままの場合、大抵、鼻の中の鼻中隔まで曲がっていて鼻の通りが悪くなっています。この場合、鼻中隔の曲がりを治す機能的な改善だけでなく、同時に鼻の形も治す整容的な改善の手術を加えることで、より満足した治療結果が得られます
78歳、女性 鼻が曲がった:斜鼻変形、鼻が低くなった:鞍鼻変形
手術:オープンアプローチ、細片耳介軟骨移植による外鼻形成術(Diced cartilage graft)、鼻翼縮小術
(上段:手術前、下段:術後) 2カ月前に転倒して鼻骨骨折と診断されましたが、その時は気が動転していて手術に踏み切れずにおりました。2カ月経って、腫れが引いてみると鼻が曲がり、低くつぶれたような鼻になっていることに、大変ショックをうけて、鼻の形成を希望されました。 手術治療:年齢のことを考えなるべく体に負担のかからない方法を選択しました。両側の耳の軟骨(耳甲介軟骨)を耳の裏側から一部採取し、1mm四方以下に細かくしました。これを、側頭部にある薄い膜を採取して、包み、鼻を高くするインプラント作製しました。 幸い、鼻の通りは悪くなかったので、オープン法で鼻背にポケットを作り、ここにインプラントを移植しました。傷を閉じたのち、年齢的にも鼻翼(小鼻)が広がっていましたので、これを一部縮小して上品な鼻になるよう仕上げました。最後に、鼻ギブスをしっかりあてました。 手術経過:術後1週間で、鼻ギブスを外しましたが、さらに2週間は鼻に強い力がかからないように注意していただきました。術後3週目以降は大分、腫れがとれました。術後3か月で、鼻の形も鼻筋が通り、上品な顔の印象に大きく改善しました。 コメント:年齢が高い方でも、ご自分の顔の形を大変気にされておられます。年齢が高い方でも、その方にあったベストな方法で、改善を図ることで、ご自分の顔に少しでも自信を取り戻して頂けたらと思います。その場合、単にケガの前の状態に戻すのではなく、年齢による鼻の形の変化を少しでも改善するような、この症例の場合は鼻翼縮小術ですが、そのような治療を追加して、より良い結果を追求しています。