顎変形症、あごえら・小顔矯正・性同一性障害の顔面輪郭、鼻整形、生まれつき・外傷後の顔面変形、睡眠時無呼吸症候群の形成美容外科専門治療: 東京警察病院 形成外科・美容外科

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症例:唇顎口蓋裂、クルーゾン症候群、第1第2鰓弓症候群・小耳症などによる生まれつき、ロンバーグ病、ケガによる顔面変形

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 17歳、男性 両側唇顎口蓋裂成長後の受け口、反対咬合

手術:手術先行(サージャリーファースト)方法による外科矯正手術 ルフォーⅠ型上顎骨骨切り術による上顎前方移動+下顎骨矢状分割骨切り術

後日追加手術:おとがい形成術、唇裂鼻変形形成術

(上段:治療前、下段:治療後) スライド3 生後3カ月で初回唇裂形成術を受けられ、以後、口蓋裂閉鎖術、腸骨移植による顎裂閉鎖術など数回の手術を受けられた後、しばらく来院されておられませんでした。今回、高校卒業後就職したいので、それまでのうちに、受け口、反対咬合の治療を希望されいらっしゃいました。

手術方法:一日でも早く受け口、唇裂様顔貌を改善する目的で手術先行方法による外科矯正手術を予定しました。術後の歯科矯正治療を含めた治療全体の計画を、矯正医の先生と十分に検討し、手術シミュレーションをたてました。学校の夏休みに手術を希望されましたが、生まれつきの変形がベースにある歯並び、かみ合わせの大きなズレがありましたので、手術までの3カ月間だけ、歯科矯正治療を行いました、手術は、上あごをルフォーⅠ型上顎骨切りを行い、7mm前方へ移動しました。下あごは下顎骨矢状分割骨切り術を行い、新しい上あごとうまくかみ合う位置に後方に移動させました。この手術では、唇裂特有の押しつぶされたような鼻の手術をしませんでしたので、あご先の位置をE-ラインに移動させるおとがい形成術は行いませんでした。

術後経過:術後2週間以降に、腫れが落ち着いてくると、受け口顔が改善されました。術後3週以降に、本格的な歯科矯正治療が始まりました。術後6カ月で、唇裂鼻形成術とその鼻に合わせたおとがい形成術を追加し、唇裂特有の顔貌から解放され、自信をもって就職ができました。動的矯正期間は1年6カ月で終了しました。

コメント:通常は、手術先行(サージャリーファースト)方法による外科矯正手術治療が難しい症例でしたが、手術を受けるまでの3か月間にできるだけの歯科矯正治療をして、患者さんの希望される手術時期に、手術を行いました。術後矯正治療は、難しかったと思いますが、手術先行方法の外科矯正治療での矯正経験豊富な矯正医の先生による治療による歯並びもかみ合わせも著しく改善しました。この患者さんを、もし従来法で治療していたら、術前矯正期間に1-2年を要し、なかなか時間のとれない就職後に外科矯正手術を受けなくてなりませんし、もしかしたら治療途中でのドロップアウトも考えられました。 口唇口蓋裂に代表される生まれつきの顔の問題を抱えている方は、大きなストレスを抱えて生活されおります。私たち形成外科・美容外科医は、一日でも早く顔の形を変える治療を行い、自信をもってQOLの高い生活を送って頂ければと願い、生まれつきの顔の変形治療に対しても、矯正医の先生と協力して、できるだけ手術先行方法による治療を追求しております。

クルーゾン症候群 2歳、女 頭蓋内圧亢進、眼球突出、睡眠時無呼吸症状を呈する前頭部、中顔面低形成

手術 2歳: モノブロック型骨延長術(前頭部+ルフォーⅢ型中顔面同時骨延長術)

13歳: ルフォーⅢ型中顔面骨延長術

21歳: 下顎骨矢状分割骨切り術

Crouzon症候群 症例

治療経過:生後5カ月頃より中顔面低形成が原因による眼球突出と上顎が小さいことによる睡眠時無呼吸症状が出てきたため、当科を紹介されました。しばらく外来にて経過を観察しておりましたが、次第に眼球突出と無呼吸症状が悪化して、さらに頭蓋骨縫合のうち冠状縫合の早期癒合に伴う頭の形の短頭化と頭蓋内圧亢進症状が認められるようになってきました。

2歳時(A)に、短頭化した頭の形と頭蓋内圧亢進症状を改善し、さらに中顔面低形成による眼球突出と睡眠時無呼吸症状を同時に改善するため、モノブロック型骨延長術を施行しました。術後7日目より、前頭骨と中顔面をそれぞれ一日1mmずつ前方に向かって内固定型骨延長器を用いて延長を行ないました。前頭骨は15mm、中顔面は10mm延長しました。手術により症状は改善し、しばらくは1年に1回の外来受診で経過観察を行っておりました。

13歳時(B)、第2次性徴期が始まって、顔の骨の成長も一段と盛んになってくると、再び眼球突出と睡眠時無呼吸症状が顕著になり、年頃の女性としてもその特異な顔貌の改善に大変強い希望がありました。今回の手術は、低形成の部分は主に中顔面にありましたので、ルフォーIII型骨延長術を行いました。術後7日目より、一日1mmずつ前方に向かって内固定型骨延長器を用いて延長を行ないました。中顔面は16mm延長しました(C)。手術により症状は改善し、歯科矯正治療を行いながらしばらくは1年に1回の外来受診で経過観察を行っておりました(D,E)。

21歳時、中顔面の低形成の傾向が少し残っており軽度の受け口class IIIでしたので、下顎を上顎と良い咬み合わせの位置に来るように下顎骨矢状分割骨切り術で下顎をセットバックしました。

23歳時(F)、顔面骨の成長も終了し、眼球突出や睡眠時無呼吸症状もなく、機能的にも整容的にも良好な治療結果が得られました。

コメント:クルーゾン症候群、アペール症候群、ファイファー症候群など頭蓋骨縫合早期癒合症と中顔面低形成症状 を併せ持つ生まれつきの病気を「症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症」といいます。頭蓋骨縫合早期癒合症には、様々なタイプがあり、手術方法もいくつかりますが、症候群性の場合は、できるだけ頭蓋骨を大きくする必要があり、これには骨延長法が大変有用な方法です。さらに、従来では前頭部を主に骨延長する(Front-orbiral distraction)方法が主体でしたが、最近では頭蓋内圧亢進症状に対する治療方法として後頭部の骨延長(Posterior distraction)が用いられるようになってきました。

この症例では、2歳時に、短頭化した頭の形と頭蓋内圧亢進症状を改善し、さらに中顔面低形成による眼球突出と睡眠時無呼吸症状を同時に改善するひつようがありましたので、モノブロック型骨延長術を施行し、様々な症状を一期に改善いたしました。しかし、顔面骨の成長が終了するのは、20歳頃までかかります。元々成長の悪い、頭蓋骨や中顔面の性質は残っておりますので、2歳時の手術で改善された症状が、その後の顔面骨の成長過程の中で、再発することは十分に考えておく必要があります。

この症例の場合でも、急に体の成長が起こる第二次性徴期の13歳で、眼球突出と睡眠時無呼吸症状が再発したため、ルフォーIII型骨延長術を行いました。 21歳時に、最終的に残った受け口顔と咬み合わせの改善のために下顎を下げる手術を行い治療を完了しました。 このように、生まれつきの顔の病気の治療は、顔面骨成長が終了する20歳ぐらいまでは、各成長段階で生じてくる様々な症状に対し、多段階的に必要となります。私たちは、このように機能性の改善と整容性の向上が両立できる最新の治療を目指しております。

5歳、男 左第1第2さい弓症候群(左顔面低形成、左巨口症、左耳介変形:Pruzansky分類 type IA)

手術

1歳:巨口症形成術

5歳:左耳介形成術、左下顎骨骨延長術(14mm延長)

18歳:左顔面に脂肪注入術

(上段:A-F 治療経過、下段:最終咬合状態) 第1第2鰓弓症候群 Pruzansky typeIIA 症例 第1第2鰓弓症候群 Pruzansky typeIIB 咬合

治療経過:生まれつき巨口症、左小耳症を認め、左第1第2さい弓症候群と診断されました。

生後1年で、巨口症形成術を行いました。顔面の成長とともに5歳頃から左顔面の低形成による顔面非対称の症状がはっきりしてきました(上段A)。

5歳で左耳介変形に対し耳介形成術を行い、また同時に低成長の左下顎骨延長術を行いました。左下顎骨は術後7日目から1日1mmずつ骨延長を行い、顔面の対称性が得られるまで合計14mm骨延長を行いました(上段B)。骨延長後に生じたかみ合わせのズレには、歯科矯正治療を併用しました。

それ以降は、顔面の非対称性は改善しておりましたが(上段C,D)、16歳頃の思春期の顔面の成長スパート時期から、再び顔面の非対称が目立ち始めました。

18歳時、顔面非対称の程度は比較的軽度でしたので、顔面骨の移動手術までの治療をご本人もご家族も希望されませんでした(上段E)。ただ、ほほからあごにかけての若干の顔面の非対称性の改善を希望されましたので、左顔面への脂肪注入術でフェイスラインを整えました(上段F)。歯科矯正治療により、最終的な、かみ合わせ状態も良好になりました(下段)。

コメント:15歳未満での下顎骨骨延長術は、その手術効果に賛否両論ある治療ですが、この症例のようにPruzansky分類 type IIAの比較的軽度の場合には、早期に顔面非対称を比較的低侵襲に改善できる治療です。ただし、この症例のようにやはり成長終了時に顔面骨の非対称性が残りますが、比較的軽度であれば脂肪注入術でフェイスラインを整える治療だけで良い結果が得られます。もちろん、顔面骨の非対称性を治す顔面骨を移動させる手術をご希望がある方にはいたします。この症例の場合も、顔面骨を移動させる手術ご希望されれば、より良い顔面の対称性が得られたと思われます。

21歳、男性 右第1第2さい弓症候群(右顔面低形成、右小耳症:Pruzansky分類 type IIB)

手術

8歳:右下顎骨骨延長術(16mm延長)

10歳:右耳介形成術、耳介挙上術

21歳:上下顎骨同時骨延長術 右上顎11.5mm骨延長、右下顎16mm骨延長

21歳:骨延長器抜去時に、左下顎骨外板を切除した右下顎骨上に移植

(上段:上下顎同時骨延長前、下段:治療終了時) 第1第2鰓弓症候群 Pruzansky typeIIB

治療経過:生まれつき右小耳症を認め、左第1第2さい弓症候群と診断されました。顔面の成長とともに6歳頃から右顔面の低形成による顔面非対称の症状がはっきりしてきました。

8歳で低成長の右下顎骨延長術を行いました。右下顎骨は術後7日目から1日1mmずつ骨延長を行い、顔面の対称性が得られるまで合計16mm骨延長を行いました。骨延長後に生じたかみ合わせのズレには、歯科矯正治療を併用しました。 それ以降は、顔面の非対称性は改善しておりましたが、思春期の顔面の成長スパート時期から、再び顔面の非対称が目立ち始めました。

21歳時、顔面非対称の程度は重度でしたので、上下顎骨同時骨延長術(右上顎11.5mm骨延長、右下顎16mm骨延長)を行い、低形成の右顔面を左顔面と同じ大きさにする手術を行いました。この症例は、専門の矯正歯科医の先生がお住いの近くにいらっしゃらなかったため、十分な歯科矯正治療が行えませんでしたが、ベストなかみ合わせではありませんが、術前矯正治療も行わず、術後矯正治療も行えないサージャリーファーストならぬサージャリ―オンリーの治療方法でしたが、顔面の対称性ならびにそれなりに安定したかみ合わせが、短期間のうちに得られました。歯科矯正治療により、最終的な、かみ合わせ状態も良好になりました(下段)。

コメント:15歳未満での下顎骨骨延長術は、その手術効果に賛否両論ある治療ですが、この症例のようにPruzansky分類 type IIAの比較的軽度の場合には、早期に顔面非対称を比較的低侵襲に改善できる治療です。ただし、この症例のようにやはり成長終了時に顔面骨の非対称性が残りますが、比較的軽度であれば脂肪注入術でフェイスラインを整える治療だけで良い結果が得られます。もちろん、顔面骨の非対称性を治す顔面骨を移動させる手術をご希望がある方にはいたします。この症例の場合も、顔面骨を移動させる手術ご希望されれば、より良い顔面の対称性が得られたと思われます。

6歳、女性 ロンバーグ(ロンベルグ)病(進行性顔面片側萎縮症)

手術

6歳:右下顎骨骨延長術

17歳:上下顎骨切り移動術と歯科矯正による顔面骨非対称治療

24歳:右眼窩骨上方移動術+右頬骨骨延長術

ロンバーグ病の治療

治療経過:5歳までは顔面の非対称には気付かれませんでした。6歳になり右顔面の特に頬、下あご辺りの痩せ、凹みによる顔面非対称が目立ってきたため、自宅近く病院から紹介されました(A)。

成長期前にすでに右顔面全体が萎縮しておりましたので重度のロンバーグ病と診断し、進行性に顔面のバランスがズレていくことを見越して、大きく分けて、顔の土台となる顔面骨の治療と皮膚・皮下脂肪組織の治療の治療を計画しました。 6歳時に、顔面骨骨格の特に右下あごの萎縮、成長不良が認められましたので、右下顎骨骨延長術を行い、右下顎骨を14mm延長しました(B)。

骨延長後は思春期までは、頬、下あご周りの痩せ、凹みはありましたが、16歳以降の成長期のスパートが始まりますと、下顎骨やその他の上顎、頬骨など顔面骨の低成長、萎縮およびかみ合わせの崩れが顕著になってきました(C)。 17歳時、顔面土台となる上あごと下あごの曲がりを治すために、上下顎骨切り術を行い、かみ合わせを治しつつ上あごと下あごの関係を水平な位置に移動させました(D)。

18歳時、顔面の土台となる上あごと下あごの非対称性はある程度改善しましたのが、右顔面の皮下組織が足りないことによる顔面の非対称が残りましたので、右の腿の付け根から皮下脂肪組織を採取して、右顔面の皮下に移植(血管付き遊離脂肪弁移植術)しました(E)。

術後は、顔面の非対称に改善が認めまれましたが、顔面骨の成長が終了した20歳以降では、眼の位置やほほの位置を中心に大きな顔面非対称が残ってしまいました(F)。

23歳時、右の眼のくぼみ(眼窩)および右の頬骨を上方ならびに前方に移動させる手術を行いました。(眼窩骨切り移動術+右頬骨骨延長術)。

24歳時、術後1年経過し、移動させた骨は癒合しました。まだ、少し右ほほからあごにかけての痩せが残りますが、今後は痩せの脂肪注入術などで、形を整える予定です。この病気は、30歳頃まで進行しますので、この後も慎重に経過観察が必要となります(G)。

コメント: ロンバーグ(ロンベルグ)病(進行性顔面片側萎縮症)は、発症年齢、萎縮の程度、萎縮の場所などに非常に個人差、バラツキの大きい原因がまだ分かっていない病気です。

早い方は、この症例のように5,6歳から顔面の痩せが出てきますが、一般病院では原因不明とされて様々な医療機関を何軒か周りようやく診断がつくことも多いです。成長の早い段階から症状が出てくる場合は、やはり顔面非対称の程度も大きくなり、成長に合わせた治療が何度も必要になります。

治療は、大きく分けて、顔の土台となる顔面骨の治療と表面の皮膚・皮下脂肪組織の治療に分けられます。私たちは、土台となる顔面骨の治療を得意としております。通常は、20歳ぐらいまでに顔面骨の成長が終了しますので、それに合わせて最適なタイミングと最適な治療を主に顔面骨に行います。もちろん、重度の場合は、かみ合わせもズレてきますので、歯科矯正治療が欠かせません。残った皮膚・皮下軟部組織の欠損の治療は、顔面骨の非対称が改善されたその後に行い、最終的なバランスを整えます。顔面骨の非対称が大きく残った状態で、いくら皮膚・皮下軟部組織を移植して補っても、顔がむくみ垂れ下がった状態の顔になりますので、いい結果が得られません。

43歳、女性 右陳旧性眼窩骨折:眼窩底、眼窩内壁、眼窩上縁骨折

手術:眼窩底、内壁骨折整復+頭蓋骨外板骨移植 人工骨ペーストによる眼窩上縁-前頭部形成術

(上段:治療前、下段:術後6カ月) 右陳旧性眼窩骨折 症例1 交通事故に遭われ右眼窩骨折(眼窩底、眼窩内壁、眼窩上縁骨折)を受傷されましたが、同時に外傷性頭蓋内出血がありましたので、脳神経外科で緊急開頭手術治療を受けられました。脳神経外科での治療が落ち着いた受傷から1カ月後には、右眼球の陥凹変形および右眼窩前頭部の変形が残りました。受傷3カ月後に、右眼球陥凹変形および右眼窩前頭部変形および右眼球運動障害の治療のため、私たちを紹介受診されました。 CT画像検査では、右眼窩底と内壁が広範囲に陥没しており、また右眼窩上縁から前頭部の骨折変形を認めました。

手術方法:全身麻酔下で、冠状切開アプローチ(髪の毛の中を切って前頭部にアプローチする方法)で、右眼窩上縁から前頭部にかけての骨折変形に対して、ハイドロキシアパタイト製の人工骨ペーストで形を整えました。さらに、頭蓋骨外板を採取し、眼窩内壁の陥凹部分に移植しました。 続いて、右下眼瞼結膜切開アプローチから、眼窩底骨折部分を、顕微鏡下で丁寧に整復し、眼窩底の骨欠損部を覆うために、頭蓋骨外板を薄く整形して移植しました。手術終了前には、動きの悪かった右眼球の運動が改善していることを確認しました。

術後経過:術後3日間は腫れのため、右眼が開かない状態でしたがよく眼球を動かす訓練を始めました。術後1週間もすると腫れも引いてきて退院となりました。術後3週以降には大分腫れも取れてきて、右眼球運動障害も改善してきました。 術後6カ月では、すっかり腫れも落ち着き、右眼球陥凹変形および右眼窩前頭部変形および右眼球運動障害も改善し、事故に遭われる前の状態まで回復することが出来ました。

コメント:通常、眼窩骨折は受傷から2週間以内の治療が望ましいとされております。それ以降になりますと、骨折部分が変形した形で固まりかけてきますし、特に眼窩底骨折では、眼窩内容が周囲とくっついてしまい(ゆ着状態)、手術ではがすことが難しくなってきます。また、眼球を動かす筋肉へのダメージも大きくなる可能性あります。しかし、この症例のように大きな交通事故などでは眼窩骨折以外にもの頭蓋骨骨折や脳挫傷なども合併することが多く、眼窩骨折の治療よりも脳神経外科での治療が優先されるため、眼窩骨折の治療は、変形したままで固まってしまった陳旧性の状態に対して治療をすることになります。

私たちは、この陳旧性眼窩骨折特有の眼窩陥凹変形と眼球運動障害の治療が、顔面骨骨折治療の中で最も難しい治療と考えておりますし、経験のあられる形成外科医の意見も一致するところだと思います。私たちは、冠状切開アプローチ、内視鏡アプローチ、下眼瞼アプローチなど様々なアプローチを用いて、難しいとされている陳旧性眼窩骨折に対して、整容性と機能性を最大限に追求した治療を積極的に行っております。時には、受傷から2週間以内に既に他院で治療を受けたけれども、さらなる改善を希望さる方にも、治療の難しさをご理解いただいた上で、最善の治療をご提供しております。

30歳、女性 鼻の曲がり:斜鼻変形)、鼻の通りが悪い:鼻中隔湾曲症、ハンプ(鼻背のこぶ)

手術:オープンアプローチ、ハンプ切除、鼻中隔湾曲矯正、Spreader graft、鼻骨骨切り術

(上段:手術前、下段:術後) 鼻 斜鼻変形 ハンプ 鼻中隔湾曲症の手術 高校生の頃、スポーツで鼻骨骨折を受傷し、手術を受けたのですが、その後も鼻が曲がった状態になりましたが、特に治療を受けませんでしたが、ずっと鼻の曲がりは気にしていました。最近、鼻の通りが悪いことを、耳鼻科で相談したところ、鼻中隔湾曲症があり、昔の鼻骨骨折が原因ではないかと言われました。今回、鼻中隔湾曲症とケガによる鼻の曲がりが健康保険で治療できることを知り、鼻の通りと鼻の形両方の改善を希望されました。

手術治療:鼻骨以外にも、鼻中隔湾曲、鼻の軟骨(鼻背軟骨、鼻中隔軟骨など)の変形がありましたので、オープンアプローチで手術を行ないました。湾曲した鼻中隔軟骨を一部切除し、鼻中隔湾曲を矯正しました。鼻背部の、突出した部分(ハンプ)を切除し女性らしいスムーズな鼻背を形成しました。鼻背軟骨変形には、採取した鼻中隔軟骨をspreader graftとして移植し、変形矯正のみならずinternal valveの開存を図り、安定した鼻の通りを確保しました。傷を縫合した後、最後に、鼻骨骨切りを行い、鼻骨の位置を良い位置に移動させ、その位置で骨が接合するように鼻ギブスをしっかりあてました。

手術経過:術後2日目に鼻の中のガーゼを取りました。3日目が一番鼻の周辺、眼の周辺が腫れました。その後は、徐々に腫れと内出血の跡は減ってきました。術後1週間で、鼻ギブスを外しましたが、さらに2週間は鼻に強い力がかからないように注意していただきました。まだ腫れが残っていましたが、鼻の形はストレートに改善しました。術後3週目以降は大分、外の腫れと鼻の中の腫れがとれました。術後3か月後で、ほぼ腫れも落ち着き、鼻の形も鼻の通りも大きく改善しました。

コメント:ケガの後遺症で、鼻が曲がったままの場合、骨だけの変形を治しても、鼻背軟骨や鼻中隔軟骨などの軟部組織成分の変形が残るので、ここに手を入れなければいい形を作ることが難しいことがあります。長年、変形していた軟骨を手術中にしっかり見ながらいい形にすることが大変重要で、その点でオープンアプローチが大変有用です。オープンアプローチは、傷あとを心配される方がいらっしゃいますが、正面からは目立たないところを切りますので、ほとんど目立ちません。ヒアルロン酸注射などの簡単な方法で、一見良くなって見えることがありますが、また戻りますし、こうした小手先の治療を繰り返していると、どんどん組織が硬くなるので、形が崩れてくることがあります。正確な診断と治療で形だけではなく、鼻の通りの機能もきちんと治療できる専門医の治療を最初からお勧めいたします。

53歳、女性 鼻が低くなった:鞍鼻変形

手術:オープンアプローチ、自家肋軟骨移植術による外鼻形成術、鼻中隔延長術 (septal extension graft)

(上段:手術前、下段:術後) 鞍鼻 肋軟骨1 3年前に鼻をぶつけてから次第に鼻が低くなり(鞍鼻変形; saddle nose)なったため、鼻の形成を希望されました。

手術治療:鼻を高くするには、シリコンインプラントによる隆鼻術が美容外科では良く行われます。しかし、この症例では、ケガの跡による鼻骨骨折とその後に生じた鼻骨の一部吸収と傷あとの引きつれ(瘢痕拘縮)が、鼻が低くなった原因と考えられましたので、まずこの引きつれを解除する必要がありました。解除した後も再び引きつれが生じる可能性がありましたので、軟らかいシリコンインプラントでは、再変形が生じる心配がありました。そこで、ある程度の力に耐えられる自分の肋軟骨を一部採取して移植する方法を取りました。 オープンアプローチで、鼻背の骨折部分の硬い引きつれを解除しました。鼻中隔軟骨も短縮していましたので、採取した肋軟骨を移植(septal extension graft)して延長しました。 採取した肋軟骨を7×45 mmに整形して、隆鼻のために鼻根部から鼻翼軟骨にかけて移植しました。傷を縫合したのち、鼻ギブスをしっかりあてました。

手術経過:術後2日目に鼻の中のガーゼを取りました。3日目が一番鼻の周辺が腫れました。その後は、徐々に腫れ減ってきました。術後1週間で、鼻ギブスを外しましたが、さらに2週間は鼻に強い力がかからないように注意していただきました。術後3週目以降は大分、外腫れがとれました。術後3か月後で、ほぼ腫れも落ち着き、鼻の形も鼻筋が通り、大きく改善しました。

コメント:ケガの後遺症で、小さく壊れた鼻の骨が吸収されたり、皮下に溜まった血の塊が吸収されていく過程で、次第に鼻が変形することがあります。また、以前に鼻を高くするために入れたシリコンインプラントが感染したりすると、同様のことが生じることがあります。この場合、安易に鼻を高くすればいいという考えでシリコンインプラントを入れたりすると、引きつれに負けてインプラントがずれたり、感染したりすることがますので、手術方法を十分に検討する必要があります。

49歳、男性 鼻の曲がり:斜鼻変形、ハンプ、鼻閉:鼻中隔湾曲症

手術:オープンアプローチ、ハンプ切除、鼻中隔湾曲矯正、Spreader graft、鼻骨骨切り術

(上段:手術前、下段:術後) 鼻 斜鼻変形 ハンプ 鼻中隔湾曲症 の手術治療 20代の頃、スポーツで鼻骨骨折を受傷し、鼻が曲がったが特に治療を受けずにいましたが、ずっと鼻の曲がりは気にしていました。最近、鼻の通りが悪くなり、耳鼻科受診したところ鼻中隔湾曲症があり、昔の鼻骨骨折が原因ではないかと言われました。今回、鼻中隔湾曲症とケガによる鼻の曲がりが健康保険で治療できることを知り、鼻の通りと鼻の形両方の改善を希望されました。

手術治療:鼻骨以外にも、鼻中隔湾曲、鼻の軟骨(鼻背軟骨、鼻中隔軟骨など)の変形がありましたので、オープンアプローチで手術を行ないました。湾曲した鼻中隔軟骨を一部切除し、鼻中隔湾曲を矯正しました。鼻背部の、突出した部分(ハンプ)を切除しスムーズな鼻背を形成しました。鼻背軟骨変形には、採取した鼻中隔軟骨をspreader graftとして移植し、変形矯正のみならずinternal valveの開存を図り、安定した鼻の通りを確保しました。傷を縫合した後、最後に、鼻骨骨切りを行い、鼻骨の位置を良い位置に移動させ、その位置で骨が接合するように鼻ギブスをしっかりあてました。

手術経過:術後2日目に鼻の中のガーゼを取りました。3日目が一番鼻の周辺、眼の周辺が腫れました。その後は、徐々に腫れと内出血の跡は減ってきました。術後1週間で、鼻ギブスを外しましたが、さらに2週間は鼻に強い力がかからないように注意していただきました。まだ腫れが残っていましたが、鼻の形はストレートに改善しました。術後3週目以降は大分、外の腫れと鼻の中の腫れがとれました。術後3か月後で、ほぼ腫れも落ち着き、鼻の形も鼻の通りも大きく改善しました。

コメント:ケガの後遺症で、鼻が曲がったままの場合、大抵、鼻の中の鼻中隔まで曲がっていて鼻の通りが悪くなっています。この場合、鼻中隔の曲がりを治す機能的な改善だけでなく、同時に鼻の形も治す整容的な改善の手術を加えることで、より満足した治療結果が得られます

78歳、女性 鼻が曲がった:斜鼻変形、鼻が低くなった:鞍鼻変形

手術:オープンアプローチ、細片耳介軟骨移植による外鼻形成術(Diced cartilage graft)、鼻翼縮小術

(上段:手術前、下段:術後) 鞍鼻変形 diced cartilageによる治療 2カ月前に転倒して鼻骨骨折と診断されましたが、その時は気が動転していて手術に踏み切れずにおりました。2カ月経って、腫れが引いてみると鼻が曲がり、低くつぶれたような鼻になっていることに、大変ショックをうけて、鼻の形成を希望されました。

手術治療:年齢のことを考えなるべく体に負担のかからない方法を選択しました。両側の耳の軟骨(耳甲介軟骨)を耳の裏側から一部採取し、1mm四方以下に細かくしました。これを、側頭部にある薄い膜を採取して、包み、鼻を高くするインプラント作製しました。 幸い、鼻の通りは悪くなかったので、オープン法で鼻背にポケットを作り、ここにインプラントを移植しました。傷を閉じたのち、年齢的にも鼻翼(小鼻)が広がっていましたので、これを一部縮小して上品な鼻になるよう仕上げました。最後に、鼻ギブスをしっかりあてました。

手術経過:術後1週間で、鼻ギブスを外しましたが、さらに2週間は鼻に強い力がかからないように注意していただきました。術後3週目以降は大分、腫れがとれました。術後3か月で、鼻の形も鼻筋が通り、上品な顔の印象に大きく改善しました。

コメント:年齢が高い方でも、ご自分の顔の形を大変気にされておられます。年齢が高い方でも、その方にあったベストな方法で、改善を図ることで、ご自分の顔に少しでも自信を取り戻して頂けたらと思います。その場合、単にケガの前の状態に戻すのではなく、年齢による鼻の形の変化を少しでも改善するような、この症例の場合は鼻翼縮小術ですが、そのような治療を追加して、より良い結果を追求しています。

21歳、女性 外傷後下顎骨変形、顔面非対称、交叉咬合

手術 :手術先行(サージャリーファースト)方法による外科矯正手術 下顎骨矢状分割骨切り術

(上段:治療前、下段:治療後) 陳旧性下顎骨骨折の手術先行方式の外科矯正治療

16歳時、交通外傷にて脳挫傷、右下顎骨関節突起骨折、下顎骨体部骨折を受傷されました。救命センターで一命をとりとめましたが、下顎骨骨折の治療が十分に行えず、下顎骨変形に伴う顔面非対称および高度の交叉咬合に大変悩まれておりました。 大学生の就職活動前に早期の顔の形の治療を希望されました。

手術方法:一日でも早く顔面非対称と交叉咬合を改善する目的で手術先行方法による外科矯正手術を予定しましたが、下顎骨骨折が2か所で起こったために生じた高度の交叉咬合がありましたので、歯科矯正治療を含めた治療全体の計画を、矯正医の先生と十分に検討し、手術シミュレーションをたてました。交叉咬合の外科矯正治療に対して手術先行方法は難しいとされておりますので、手術予定の春休みまでの3カ月間だけ術前矯正を最小限行いました。手術は、下顎の移動をシミュレーションして、左と右とで異なる骨切りラインで下顎骨矢状分割骨切り術を行い、上あごとうまくかみ合う位置に移動させ固定しました。手術中に、顔の対称性が得られたことを確認しました。

術後経過:術後2週間以降に、腫れが落ち着いてくると、顔面の対称性が獲得され、また口を開けた時の口の曲がりも改善しました。術後3週以降に、本格的な歯科矯正治療が始まり、術後動的矯正期間は1年2カ月で終了しました。術前矯正期間と合わせて、治療期間は1年半で終了しました。就職活動前に、顔の対称性、フェイスラインが改善し、また交叉咬合も改善したため滑舌がよくなり、さらに自信をもって大学生活、就職活動をされました。

コメント:外傷後の交叉咬合は、手術先行(サージャリーファースト)方法による外科矯正手術治療が向いていないあるいは難しいとされておりますが、手術を受けるまでの3カ月間を利用してできるだけの歯科矯正治療をして、患者さんの希望される就職活動が始まる前の春休みの手術時期に、手術を行いました。術後矯正治療は、難しかったと思いますが、手術先行方法の外科矯正治療での矯正経験豊富な矯正医の先生により、歯並びもかみ合わせも著しく改善し、滑舌もよくなりました。この患者さんを、もし従来法で治療していたら、術前矯正期間に1年は要し、なかなか時間のとれない就職後に外科矯正手術を受けなくてなりませんし、もしかしたら治療途中でのドロップアウトも考えられました。私たち形成外科・美容外科医は、かみ合わせとともに、一日でも早く顔の形を変える治療を行い、自信をもってQOLの高い生活を送って頂ければと願い、外傷後の顔の変形治療に対しても、矯正医の先生と協力して、できるだけ手術先行方法による治療を追求しております。


お問い合わせは、形成外科・美容外科 外来受付まで TEL 03-5343-5611 午前9:00~16:00(日曜・祝祭日・年末年始は除く)

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